第62章 Distance
翔に全てを話した。
涙を流しながらも…翔は最後まで話を聞いてくれた。
翔の手を握っても…もう翔は拒絶しなかった。
少し…前進した。
そう思った。
翔「そろそろ…仕事の準備しなきゃ」
「そっか。もうそんな…」
翔「………潤」
「うん」
翔「聞きたくなかったけど…話してくれたお陰で…少し冷静になれた気がする」
「聞いてくれて…ありがとう」
翔「やっぱり…俺にも責任はある」
「翔…それは…」
翔「ごめん…潤も…苦しんでたんだね」
「翔…」
翔「………でもやっぱり…許せるかどうか分からない。俺の知らない誰かだったら…一晩だけの関係だったら…きっとぶん殴って終わりにしたと思う。いつか許せたと思う。でも…」
「………」
翔「彼女は…そこら辺の誰かとは違うよ…潤」
「分かってる…ごめん…」
翔「どうして…よりによって彼女と…」
「………ごめん…本当にごめん…」
翔がふぅと大きく息を吐きながら天井を見上げた。
何かを…決めたかの様に。
翔「潤…」
「うん」
翔「俺達このままずっと一緒に居たら…駄目だと思う。傷付け合って…駄目になる。どうしても…頭から離れない。彼女との事」
「………」
翔「たった一度でも…もう二度と無いって信じる事が出来ても…俺…許せそうにない…」
「………それって…」
翔「………離婚…しよう。俺達」
「そんな…」
翔「ごめんなさい…」
頭を下げる翔を俺は呆然と見ていた。