第60章 Prelude to collapse
「何…どういう事?」
真央『これからも逢いたいの。2人で』
「ちょっと…待って…」
頭を抱えながらソファーに座る。
真央『もう我慢したくないの。貴方を愛してる。ずっと…潤くんも分かってるでしょ?』
「………それは…」
真央『貴方と過ごす時間が少しでもあればそれでいいの。お願い潤くん』
「出来ないよ。真央…翔を裏切る事は出来ない」
真央『もう裏切ったじゃない』
「言うな…頼む。こんな事言うの申し訳ないけど…思い出したくないんだ」
真央『私はずっとあの日の事忘れられない』
「ごめん…また電話で話そう。逢うのは無理だ」
真央『………櫻井さんに話すって言っても?』
「………は?」
真央『………逢ってくれないのなら…櫻井さんに話すわ』
「待て真央!」
真央『どうしてあの人だけ幸せなの?自分から手放しておいてやっぱり好きだって私から奪って…幸せそうにヘラヘラして。大嫌いよあの人。ずっと嫌いだった。仲良くしてたのは貴方の為よ潤くん。貴方との思い出汚したくなかった。いい女で居たかったから…だから何も言わなかった。でももういい。貴方が私を抱いてくれるなら…ほんの少しでも側に居てくれるなら…それでいい。あの人を許せる。私は幸せで居られるの』
真央の言葉が…何度も俺に突き刺さる。
「真央…また電話するから。会って話そう。頼む」
真央『それは…イエスって事でいいの?』
「頼むからそんな事言うな。話せば分かるだろ」
真央『同じよ。私の気持ちは変わらないの』
「真央…」
そして…そのまま電話は切れてしまった。
ガタンと音を立てて…スマホが床に落ちていった。