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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第56章 Struggle


翔「っっ…ふぅっ…ど、して…どうして…!」


車に乗り込むと同時に…翔の瞳からは涙が溢れた。


翔「何で…何でまた…どうしてぇ…」


「………」


俺は…何も言えなかった。
ただ…泣きじゃくる翔を抱き締めるしか…出来なかった。





不妊治療って…こんなにも早い効果があるんだと…喜んだ。


治療を始めて2ヶ月。
翔のお腹には…新たな命が宿った。
小さな小さな命…。


泣いて喜んだ。
翔も俺も…。
家族も喜んでた。


事務所に話して…仕事の調整をかけている真最中だったのに…。


今日の検診で…先生に言われた。


「赤ちゃんの心音が…聞こえません」


自然流産。
前回と…同じだ。


また…すぐに天国へと戻ってしまった。


分かってた。
翔の身体は…妊娠しても油断出来ない。
安定期を過ぎないと安心は出来ない。


でも…まさかこんな…。


翔「嘘だよ…赤ちゃんはまだ生きてる…死んでない…!」


「翔…」


翔「ここに居るんだよ?俺達の赤ちゃん…嫌だ…!処置するって何?絶対嫌!」


「翔…分かった…分かったから…また…診てもらおう」


翔「うぅっ…ぐすっ…ふぅっ…」


翔が落ち着きを取り戻すまで…俺はずっと抱き締めて離さなかった。
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