第53章 ハワイでのハネムーン
ホテルの部屋はあの日の記憶とあまり変わらない作りだった。
和「懐かしい…」
部屋に入り、窓ガラスから外の景色を眺めるかず。
「なぁ。聞きたかったんだけどさ」
和「ん?」
「………何考えてた?おいらと寝た日の朝」
和「………どうして?」
「起きた時見たお前の背中…『ヤっちまった』って顔…してたから」
和「ははっ。当たり」
「やっぱりな」
和「これからグループ組む人とヤっちゃってどうしようって…思った。あの時は」
ゆっくりと…かずが腕をおいらの肩に掛ける。
和「………でも」
「………でも?」
和「止められなかった。貴方と身体を重ねる事が。重ねる度に…好きになっていった。面倒臭かった恋愛が…楽しかった。でも…怖かった。さとしの気持ち…分からなかったから。ハタチの誕生日まで」
「おいらも…怖かった。かずにいつか捨てられるって…思ってた」
和「さとし…好きだって言ってくれて…ありがとう。さとしが言ってくれなかったら俺…きっと言えなかった」
「おいらの最初で最後の告白だ」
和「ありがとう。さと…」
そっとかずの唇が触れる。
「こっちの台詞だ。ありがとな…かず」
強く唇を重ねながら…おいら達はベッドに雪崩れ込んだ。