第46章 母と呼ばれた日
翔『そっかぁ…よかったじゃん。頑張った甲斐があったねにの』
「いや…俺は何もしてないよ…ただ必死なだけ」
翔『そのにのの必死な思いが智香ちゃんに伝わったって事でしょ?』
「そう、かな…」
翔『そうだよ。自信持って』
「うん、ありがと翔さん」
翔『ううん』
お昼前の緩やかな一時。
翔さんに電話して一連の話を聞いてもらった。
仕事前なのに話を聞いてくれた翔さん…優しいな。
「ごめんね翔さん仕事前に。そろそろ迎え来るでしょ?」
翔『そうだね。もうこんな時間か』
「また…何かあったら聞いてもらっていい?」
翔『勿論いつでも』
「ありがとう。じゃあまたね」
翔『うんまたね』
そう言って電話を切る。
そろそろお昼か…何食べようかな。
「よいしょ…」
お腹と腰を支えながら立ち上がった時、家の電話が鳴る。
俺は直ぐに受話器を取った。
「もしもし大野です」
『あ、もしもし大野さんのお宅ですか?私○○小学校の4年2組の担任の小林と申しますが…』
「あ、はい…!」
それは智香ちゃんのクラスの担任の先生だった。
小林『あの…実は智香ちゃんが怪我をしまして…』
「え!?怪我!?」
小林『あ、怪我自体は大した事は…。ただちょっと揉め事が起きまして…』
「揉め事…?あの…娘が何か…」
小林『その…クラスの女の子と喧嘩したらしく…その相手の子が『智香ちゃんが先に突き飛ばした』と…。それで…まぁ相手の親御さんが…話がしたいと…』
「わ、分かりました。今から伺います!」
小林『すみません。助かります』
俺は電話を切り、急いで智也を連れて家を出た。
この日の出来事が…俺と智香ちゃんの関係を決定付ける事になるとは…俺にはまだ分からなかった。