第7章 想いの交差
「ただいまー」
潤の手を引き、実家の扉を開く。
翔母「お帰りなさい。潤くんいらっしゃい」
潤「お邪魔します。これお土産です。プリンなんですけど…」
翔母「まぁありがとう潤くん。上がって?」
潤「お邪魔します」
母さんに続いて潤と家に上がる。
翔母「潤くん翔はちゃんと奥さんやれてる?」
リビングに移動しながら母さんが振り返る。
潤「もちろん。今日も早起きして朝ご飯作ってくれましたし」
翔母「まぁ。頑張ってるのね」
「頑張ってますよー」
笑い合いながらリビングの扉を開いた。
「………わぁ…」
潤「お義母さん…これ…」
リビングに置かれたのは古いけれど、きちんと手入れされ、年期の割には綺麗なベビーベッド。
俺は思わずそのベッドに駆け寄った。
「母さんこれ…もしかしてだけど…」
翔母「覚えてる?」
「………やっぱり…俺が使ってたベッドだ…」
潤「うそ…凄いな」
驚いた顔で潤もベッドに触れた。
「こんなに小さかったっけ?」
翔母「貴方が大きくなったんでしょう」
「凄い…ねぇこれまだ取ってたんだ」
翔母「………お父さんよ」
「………え…」
意外な答えに俺は驚いた。
翔母「舞が産まれる時…これ出したらうっかり足を壊しちゃってね。新しく買ったのよ。その時お父さんが実家の方に持っていってそのままにしてたのを思い出してね。先週業者さんに直して貰ったの。お父さんが手配してね」
「………」
翔母「………お父さん…ああは言ったけれど本当は貴方達の事祝福したいのよ。ただ寂しいの。まさか息子を嫁に出すなんて思わなかったから。それに報道で先に出ちゃったからショックなのよ。でも初孫が産まれるのを誰よりも楽しみにしてる。分かってあげて?」
そっと母さんが俺の手を握った。
どうしよう…泣きそうだ。
潤「ありがとうございます。後で…お父さんにもお礼伝えます」
翔母「ありがとう潤くん」
潤「ちゃんと気持ち伝えて…きちんと結婚認めてもらう様に説得します」
潤が母さんに頭を下げる。
翔母「よろしくね潤くん。よし、じゃあ潤くんはゆっくりしてて?翔。貴方は台所手伝って」
「えぇー…」
腕を引っ張られながら母さんとキッチンに移動した。