第44章 亜香里の想いと和也の決意
ー智sideー
身寄りのない亜香里の葬儀は質素な物だった。
火葬の終った後、亜香里の骨は実家の近くにあるお寺の納骨堂に納めた。
和「さとし」
リビングのソファーでボーッとしてるとかずが声を掛けてくる。
「ん?」
和「服着替えないの?」
「あ…そっか…」
まだ喪服なのを忘れていた。
「智香は?」
和「疲れてるみたい。寝てるよ」
「そっか…」
和「智也迎えに行かなきゃね」
「そうだな。少し休んでから行こうか」
和「うん」
するとかずの手が後ろから回り…おいらに抱き着いてくる。
「………かず…」
和「暫くこのままで居てもいい?」
「………うん」
かずの腕に力がこもる。
おいらはその腕を取り、前に引き寄せ膝に座らせる。
和「さとし…」
「ん」
和「愛してるよ」
「おいらも愛してる」
そっと髪を撫でながら触れるだけのキスをする。
和「さと…」
「大丈夫…」
そう言って、おいら達はずっと電気も付けずにリビングでいつまでも抱き合っていた。