第41章 Past surging
ー翔sideー
季節は慌ただしく過ぎて行き、年末年始の特番の打ち合わせ。
去年と違って今年は冬にツアーをやる事になったから…いつもより忙しい。
「にの」
和「ん?」
今日は雑誌の撮影。
俺とにの以外の3人がスタジオでここには2人きり。
いつもならゲームに没頭してるにのが…何もせずにソファーに横になってる。
「ゲームしないの?」
新聞を読みながら声を掛けるとにのがこっちを見つめる。
和「俺そんなにゲームしてた?」
「どの口が言ってんの」
そう言うとクスッと笑う。
「………本当にどしたの」
和「うん…」
「ん?」
読んでいた新聞を置いて立ち上がり、にのの隣に座るとゆっくりとにのが身体を起こした。
和「………さとし…最近おかしくない?」
「………そう?」
和「凄くね…口数が減ったと思わない?」
「え、ごめん…そこはにのしか…」
和「だよね…俺しか分かんないよね」
「うん…」
和「何かね…最近いつも考え込んでるの。気付かれない様にしてるみたいだけど…」
「いつから?」
和「国立ライブ終った後位かなぁ…。それでね…最近1人でたまに出掛けてて…」
「釣り?」
和「ううん。色々。『画材買いに行く』とか『友達と飲んで来る』とか…。でも最近絵も描いてないし…酔って帰って来た事もないんだよね」
「………」
和「………それと…最近…毎日してるの」
「毎日?」
和「うん。どんなに遅くなっても毎日求めて来るんだよね。でもね…あまり…良くなくて」
「そう…なの…?」
和「あまり慣らさずに挿れてくるから痛くて…でも…何かあるんだって思うと言えなくて…」
「………話してみたら?」
和「………何か…嫌な予感がして…。分かんないけど…聞くのが怖い…」
弱気なにのを抱き締めていると…こちらに向かう足音が聞こえる。
俺達は話を中断するしかなかった。