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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第41章 Past surging


ー和也sideー


スタッフ「これで長谷部泰之役、二宮和也さんオールアップになります!」


「ありがとうございました!」


最後のカットが掛かるとスタッフの拍手が沸く。


俺は挨拶をしながら何度も頭を下げた。





「お疲れ様。ありがとうね」


撮影中の俺の相棒だった車椅子を撫で立ち上がる。


年に一度のチャリティー番組内で放送されるスペシャルドラマの撮影が今日で終わりを迎える。
下半身不随というハンデを背負った役は…俺を人としても成長させてくれた気がしていた。





和マネ「二宮さんそのまま自宅に戻られますか?」


「うん。明日からまた忙しいからゆっくりするよ」


和マネ「じゃあ準備して来るので楽屋に迎えに行きますね」


「うん。ありがとう」


俺はスタッフの人達に挨拶をしながら楽屋へと戻って行った。





「………ん?」


長い廊下の突き当たりに見える俺の楽屋。
『二宮和也様』と書かれた貼り紙も見える。


その扉の前に立つ…若い男性の姿があった。
こちらに背中を向けてるから表情は見えないけど…ぼんやりと貼り紙の名前を見ている様に見えた。


「あの…」


声を書けるとその背中がパッと振り返る。


20代前半だろうか…可愛らしい顔立ちをしている小柄な男の子。


「………何か?」


男「………二宮和也さん…?」


「………はい」


男「………大野智さんの…奥さん…妻…」


「………」


ジロジロと全体を見つめられ、不快な気分になる。
………何だよこの人…。


「あの…」


和マネ「二宮さんお待たせしました…」


タイミングよくマネージャーが迎えにやって来た。


和マネ「………うちのタレントに何か」


男性の異様な雰囲気にマネージャーが間に立った。


男「………いえ。今日は帰ります。いずれお会いする事になると…思います…」


頭を下げた後、その人はゆっくりと歩き出した。


和マネ「………大丈夫ですか?何かされました?」


「いや平気…」


俺は気を取り直して楽屋へと入った。




………この人が…これからの俺達の夫婦関係を大きく揺るがす人になるなんて。
この時は誰も思わなかった。
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