第7章 想いの交差
ー潤sideー
「あれ、斗真」
斗真「よう。迎えに来たぜ~♪」
雑誌の取材を終えた俺はスタジオを出た所で車に乗った親友・生田斗真に会った。
「どうしたんだよ。そのまま旬の家に合流って言ってたのに」
そのまま斗真に近付いた。
斗真「まぁ、ちょっと2人で話したくてな…さっきマネージャーさんに会ったから伝えといた。乗れよ」
「ん?うん…」
俺はそのまま斗真の車に乗り込んだ。
「どうしたんだよ」
斗真「改めて言いたくてさ。結婚…おめでとう、って」
「………」
斗真「………嫌味じゃないよ。俺は…お前ならって思ってる。お前以外だったら…諦めきれなかったから…」
「………過去形か?」
斗真「………」
ふと、昔の記憶が頭に甦る。
「………幸せにするよ。約束しただろ」
斗真「………分かってる」
暫くの間、車内には沈黙が流れた。
旬の家が近かったせいか、すぐに旬のマンションのエントランスが目に入って来た。
話があった筈なのに、斗真は何も言わずに駐車場に入って行った。
「………サンキュ。助かったよ」
降りようとドアに手を掛けたのとほぼ同時だった。
斗真「潤」
振り返ると、斗真が真剣な表情で俺を見つめている。
「………どうした」
斗真「………一度だけ…一度だけで良いんだ」
「………何」
斗真「翔くんに…気持ち伝えさせてくれないか」
「………何言ってんだよ」
斗真「頼む潤」
「………」
そして再び、車内に沈黙が流れた。