第21章 wound
ー潤sideー
雅紀「そっかぁー。良かったぁ」
智「良かった。とりあえず一歩…前進だな」
翌日。
楽屋で俺はメンバーに翔の報告をした。
皆…嬉しそうに微笑んでくれた。
特ににのは…涙を浮かべてうつ向いてた。
和「………ぐすっ…」
「にの」
俺は立ち上がり、にのの隣に座った。
鼻をすすりながらにのが顔を上げる。
「にののお陰だよ。ありがとうな」
和「………俺は…何も…」
「背中押してくれただろ?そのお陰で翔は…俺に気持ちぶつけてくれた。にのが背中押してくれなかったら…きっとまだ殻に籠ってた。前を向く気にもなれてないと思う」
和「潤くん…」
「にのは翔の1番の親友だよ。これからも…俺じゃ出来ない事…してやって欲しい」
そっとにのの肩に手を置く。
和「そんな…。俺なんて何も出来ないけど…でも…翔さんが望むなら…いくらでも」
「うん。本当にありがとう」
俺はそのままにのを抱き締めた。
和「じ、潤くん…」
翔よりも小柄なその身体は…すっぽりと俺の腕の中に収まる。
戸惑ったにのの両腕が空を泳ぐ。
智「松潤…」
にのを挟んで隣に座っていたりーだーの目が鋭く光る。
まるで…『お前調子に乗んなよ?』と言わんばかりの。
ぽんぽんと背中を撫でて俺はにのから離れる。
和「びっくりした…」
「ごめん。嬉しくてさ」
智「む…」
和「わぁ!」
にのの後ろからりーだーの手が伸び、にのを抱き寄せる。
和「ちょっ…さとし!」
智「何だよ。おいらは旦那だぞ。松潤は良くて旦那は駄目ってか」
和「ば、馬鹿!子供じゃないんだから…」
りーだーがぎゅぅとにのを後ろから抱き締め、肩に顔を埋める。
雅紀「松潤。今度あやちゃんとお見舞いに行ってもいい?彼女…凄く心配してるから」
「うん。ありがとう」
雅紀「松潤も…少し元気になって良かったよ。いつでも…頼ってね。俺達の事」
「………ありがとう相葉くん」
雅紀「おれもハグー!」
「うわっ!」
後ろから相葉くんが笑顔で抱き着いて来る。
わちゃわちゃしながらりーだーとにのも微笑んでいた。
自然と笑みが溢れる。
早く…早く翔もこの場所に…戻って来て欲しい。
心からそう願った。