第20章 Scream
「………」
佐伯「翔。シャワー浴びてくるからね。その後食事にしよう」
服を着替えると彼は寝室を出て行った。
「………」
ベッドに身体を投げ出されたままぼんやりと天井を見つめる。
数日前までは…こんな事になるなんて…思わなかったな…。何でこんな事になっちゃったんだろ…。
潤…逢いたい…。
潤…潤…。
「………じゅ…ん…」
声を出すと…その声はガラガラに乾ききって掠れていた。
きっと…潤は俺を探してる…。
潤の事だから…責任を感じてる。
潤のせいじゃないのに…潤はいつもそうなんだ。
戻ったら違うって言わなきゃ…戻ったら…。
いつ…戻れる…?
俺…何してんだろう。
「………だめ…だ…逃げ…なきゃ…」
助けを待ってたら…いつになるか分からない。
これ以上あいつと居たら…本当に死んでしまう。
逃げなきゃ…。
待ってばかりじゃ駄目だ…。
逃げるんだここを…。
俺は重い身体をお越しながらゆっくりとベッドから起き上がる。
「ぐ…っ…いっ…たい…」
身体の色んな所が痛い。
でも俺は…最後の気力を振り絞って起き上がる。
「あっ…!」
力が入らずそのままベッドから床に転げてしまう。
「はぁっ…くっそ…立て…」
両腕で支えながら必死に起きた。
ジャラジャラと足に着いた足かせが音を立てる。
「………いけ…」
かかとを無理矢理押し込んで外した。
「ぐっ…」
かかとの皮が捲れ、血が滲む。
怪我なんて今はどうでもいい。早く…潤に逢いたい…。
「はぁっ…はぁ…外れた…」
勢いよく立ち上がった瞬間、腹部に激痛が走る。
「いっ…!」
お腹を押さえうずくまってしまった。
「痛い…!」
赤ちゃん…どうしよう…。このままじゃ危ない…。
「頑張って…。俺も頑張るから…一緒に頑張ろう」
ふらふら立ち上がり、お腹を押さえながら俺はゆっくりと部屋を出た。