第20章 Scream
ー翔sideー
「う…んん…」
徐々に覚醒した頭を振りながら目を覚ます。
視界に飛び込んで来たのは…見た事も無い部屋。
六畳程の部屋の隅のベッドに寝かされている事を…何となく理解した。
でも…頭はまだ霧が掛かった様にぼんやりとする。
「………どこ…?」
灯りが眩しい。
頭を押さえながらゆっくりと起き上がる。
「………え…?」
両足に着いた足かせが目に入る。
「何…これ…」
服も…見に覚えの無い物に着替えさせられていた。
白い…薄汚れた感じの大きめの上下。
………ドラマで着ていた服に似てる。
何でここに居るんだ…思い出せ…。
ゆっくりと…脳が覚醒すると同時に記憶が蘇る。
マネージャーと車に乗って…駐車場を出ようとしたら………そうだ。誰かが車の前に出て来たからマネージャーが慌ててバンドル切って…壁擦ったんだ。
………その後いきなり後部座席の扉が開いて…誰かが俺を…引きずり出した。
マネージャーが慌てて出て来て…助けようとしてくれた。
でも…相手が大柄で…しかもバット持ってて…殴られた。
………その後…タオルで口押さえられて…。
最後の記憶を思い出すと…ゆっくりと扉が開く音がする。
俺は…扉に視線を向けた。
男「………翔。起きたかい?」
「………誰…?」
さっき俺とマネージャーを襲った男が…そこに立っていた。
男「酷いな。俺に誰だなんて」
ゆっくりと近付いて来る。
「っっ、し…知りません…!」
男「いつも逢ってたじゃないか翔。あの場所で。可愛い笑顔で」
「え…あ…」
再び流れ込んで来た記憶。
確かに知らない人じゃない…。
「………警備員さん…?」
男「警備員だなんて他人行儀だなぁ…佐伯剛男って名前があるのに」
「………佐伯…さん…」
テレビ局の警備員…。確かにあの局で俺が仕事のある日は彼はいつも入口に立っていた。挨拶しかした事ない…。
佐伯「………やっと…2人になれたね。君を助け出せた。俺達…やっと結婚出来るよ」
「な、何言って…」
隣に座り、俺の肩を掴んでくる。
まさか…この人が…無言電話やメールを…?
佐伯「愛してるよ…翔…」
「い、いやっっ!いやぁっっ!!」
勢いよく俺はベッドに押し倒された。