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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第19章 慟哭


ー翔sideー


監督「はいカット!オッケー!!」


撮影最終日、最後のシーンが終わる。


AD「ではこれで神山悟役、櫻井翔さんオールアップです!」


「ありがとうございました!」


すると向こうから…花束を抱えたヨコがこちらに向かって歩いてくる。
俺は一瞬構えた。


あの日から…ヨコとはまともに話す事が出来なかった。
向こうが歩み寄ってくれてもそれとなく逃げてしまう自分。
ヨコへの恐怖心が拭えない。


でも目の前のヨコは…変わらず笑顔で。


横山「翔くんお疲れ様」


「ヨコ…ありがと…」


差し出された花束を…俺は出来る限りの笑顔で受け取った。


「えと…難しい役でしたが…皆さんのお陰でこの日を迎える事が出来ました。達成感で一杯です。3ヶ月間ありがとうございました」


拍手の中、深く頭を下げる。


挨拶が終わり、俺はスタッフ1人1人に挨拶しながらスタジオを後にし、楽屋へと向かった。





「ふぅー…終わったー」


倒れる様にソファーに腰掛ける。


翔マネ「櫻井さんお疲れ様でした。体調大丈夫ですか?」


「お疲れ様。大丈夫だよ。平気」


翔マネ「車出して来ますね」


「ありがとう」


マネージャーが出て行き、楽屋に1人になる。


「………いい匂い。玄関に飾ろうかな」


ヨコからもらった花束の匂いを嗅ぎながら、俺はヨコの事を考えた。


ヨコ…。
もうオールアップしてるのにこれの為にわざわざ来てくれたのかな。
だとしたら…俺はヨコに過剰反応してたのかもしれない。
元はと言えば…俺が悪いんだし。
第一…ヨコがあんな事するなんて信じられない。
ヨコを信じよう。


すると楽屋をノックする音が響く。


「はい」


扉が開き、若手のADが顔を覗かせる。


AD「すみません櫻井さん。監督が最後のシーンのところで話がしたいからって別室でお待ちなんですが…」


「………監督が?分かった」


何だろ。
俺は疑いもせずに立ち上がり、ADに着いて行った。


AD「こっちです。あの突き当たりの部屋」


「………あんな所で?」


AD「極秘なんで誰にも見られたくないみたいで。じゃあ俺戻ります。お疲れ様でした」


「お疲れ様…」


………滅多に入った事の無いスタジオから1番遠い楽屋。


導かれる様に…俺はその楽屋に向かった。
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