第17章 忍び寄る影
ー潤sideー
「ハッピバースデートゥーユーハッピバースデートゥーユー」
暗がりのリビングに響く手拍子と歌声。
テーブルには沢山の料理とケーキが並べられてる。
「ハッピバースデーディア太陽~ハッピバースデートゥーユー」
その真ん中にはとんがり帽子を被せられた太陽。
回りには松本家と櫻井家全員が勢揃いしていた。
細かく言うと親父が正面でビデオを回してる。
「おめでと~♪」
翔「太陽ロウソク消せる?」
キョトンとしたまま翔を見る太陽。
「まだ出来ないかー」
潤姉「じゃあ代表で夫婦で消したら?」
翔妹「あ、それいい」
翔「じゃあやる?」
「うん」
翔「せーの」
「ふー!」
翔「ふー!」
ロウソクの火を消し、拍手と共に部屋の明かりが戻る。
潤母「じゃあ食べましょうか」
翔母「そうですね」
それぞれ食事を取り分け、食べ始めた。
潤父「櫻井さんどうぞ」
親父がお義父さんにグラスを渡す。
翔父「あ、頂きます」
潤父「もうあれから1年ですな」
翔父「早いもので…。息子は…嫁としてちゃんとやれてますでしょうか?」
潤父「それはもう。うちには勿体無い位の出来たお嫁さんですよ」
翔父「そうですか…ありがとうございます」
父親同士のこんな会話も微笑ましく視界に入ってくる。
翔母「それにしても…このお刺身美味しい」
翔「だよね。まさか智くん本当に鯛釣って来てくれるなんて…びっくりした」
「『めでたいからおいらからのプレゼントは鯛だ!』って…期待してなかったけど…家出るギリギリに釣りの帰りそのまま来てたよな」
翔「うん。嬉しかった。皆にもお祝い貰えて。まさか社長やジュリーさんからももらえるなんてね」
「だよな…」
翔「本当…産んで良かった…」
ホロリと涙を流す翔。
「うん。産んでくれてありがとな」
ポンと翔の頭を撫でた。