第17章 忍び寄る影
ー翔sideー
スタッフ「では、神山悟役の櫻井翔さんです」
「宜しくお願いします!」
スタッフ「本間俊雄役の横山裕さんです」
横山「宜しくお願いします!」
季節は流れてもうすぐ3月。嵐が10周年を迎えるこの年。
元旦に智くんとにのが正式に結婚をした。
直ぐに子供が欲しい2人は智くんがドラマの撮影で忙しいにも関わらず子作りに勤しんでて。
俺はドラマの撮影に入り、もうすぐ公開の映画『ヤッターマン』の番宣とギチギチのスケジュールに入った。
潤も…ドラマ『スマイル』の撮影。
役作りで年明けから日サロに通い始め、今は肌はこんがりと黒くなってる。
太陽は…潤の実家のお義母や、うちの母さんに預けて俺も潤も撮影に集中する事になる。
これからは潤とも家で顔を合わせる事も少ない。
頑張り時だと…腹をくくる事にした。
クイズ番組の毒舌司会者の役。
膨大なセリフを頭に叩き込まなければいけなかった。
横山「翔くん…翔くん」
「あ…ごめん何?」
横山「集中しとるとこごめんな。休憩やて。コーヒーでも飲まへんか」
「あ…そっか。うん、行こう」
俺は台本を持ち、立ち上がった。
横山「翔くんセリフめっちゃ多いやん。大丈夫?」
「平気だよ。やりがいあるしね」
横山「そっかあ。俺悪役なんて初めてやからまだ手探りやけど…翔くんのが大変やな」
2人で前室に向かって歩いた。
「そんな事ないよ。ヨコだって大変でしょ」
横山「翔くん…優しいな」
「そんな事ないよ」
横山「いや、あるで?翔くんと松潤結婚した時うちのメンバー何人かガッカリしてたで?」
「ははっ、そうなの?」
横山「まぁ、俺もその内の1人やけど、なんてな」
「ふふっ、ありがとヨコ」
ヨコって相変わらずいい奴だな。
ヨコが居れば…撮影乗りきれそうだ。
気持ちの中でまたひとつ、ギアが入った気がした。