第73章 押された背中
潤「ただいまー」
帰って来た潤を急いで玄関に迎えに行く。
「お帰りなさい。ごめんね1人で送って貰って」
潤「いいって平気」
「ありがとう潤」
そう言うと潤はにっこりと微笑んで俺の手を握る。
そのまま俺達はリビングへと向かった。
潤「太陽は寝た?」
「うん。寝たよ」
潤「そっか…それなら」
ソファーに座った潤が俺を向かい合わせで膝に乗せる。
潤「食後のスイーツタイムとしますか奥さん」
「ふふっ、何度も食べてるのに…」
潤「何度食べても食べ足りないし何度でも食べたいの」
そのままゆっくりと唇を重ねながら手を繋ぎ、指を絡ませた。
潤「なぁ…翔…」
「ん…?」
潤「話したい事…」
「うん…何…?」
唇を離すと潤が手をぎゅっと握りながら俺の瞳を真っ直ぐに見つめる。
潤「赤ちゃん…頑張ってみる?」
「………」
潤「もし…翔が前向きになってるんだったら…頑張ってみよう。俺も…今はもうあの頃とは違う気持ちだから」
「………うん…俺も…頑張りたい。けど…」
潤「うん」
潤が優しい眼差しで俺を見つめる。
握った手を俺はもう一度しっかりと握り締めた。
「………怖い。やっぱり怖いんだ…。だから…潤に…支えて欲しい。駄目だった時…潤に居て貰わないときっと…」
すると潤が腕を引っ張って俺を潤の腕の中に収めてくる。
潤「絶対に側に居るから。どれだけ辛くて悲しくても翔はここに居ていいから。俺が居る。命懸けで支えるから。だから…一緒にやってみよう」
「潤…」
その厚くて温かい胸板の中で俺は涙を溢した。
そして確信したんだ。
もう一度。
もう一度やろう。
潤が居れば…きっと乗り越えられる。
そう…確信したんだ。