第12章 魂の半身
ー和sideー
翔さんの言葉が嬉しくて温かくて…俺は思わず泣いてしまった。
すると唇にふんわりした感触。
驚いて目を丸くしてると翔さんが楽しそうに笑った。
翔「この間のお返し」
「翔さん…」
翔「大丈夫。にのと智くんならきっとやれるよ」
「本当に…?」
翔「だってあんなに1人の時間大切にしてた2人が…付き合いだして今は2人の時間大切にしてるでしょ?」
「………うん…」
翔「苦になってない?」
「ううん…」
翔「じゃあ信じてみよ?それにさ…結婚しないと分からない事…結構あるよ。俺も色々あったよ。良い事もそうで無い事も」
俺を抱き締めたまま、翔さんは楽しそうに笑った。
「え…潤くん何かあるんですか?」
翔「うん。あのね…あんなスマートな顔してるのにさ…赤ちゃん抱っこするの下手なんだよ」
「え…?」
翔「今は大分慣れたけどさ…最初の内は太陽ギャン泣きしてたなぁ…でも俺が抱くと必ず泣き止むの。潤落ち込んでたなぁ。『やっぱりママかよ』って」
「ふふっ…」
翔「あー後さ…帰って来たら上着脱ぎっぱなし。直ぐにはハンガーポールに掛けないんだよ。絶対。目の前にあるのにだよ?シワになるから掛けろっつってんのに。一度それで喧嘩したなぁ…俺がガミガミ言うから潤も『俺の服だからいいじゃん』っつったから俺もキレてさ…」
「あははっ」
翔「ね。そんなもんだよ。きっともっと沢山出てくると思う。考えたく無いけど…上手くいかなくなる事もあるかも。でもね…潤となら乗り越えられるって信じてる。だって魂の半身だから」
「………素敵な言葉。魂の半身…」
翔「でしょ?潤が居ないと俺は俺じゃ無いの」
「俺も…さとしが居ないと駄目なんです…最近本当にそう思ってて…だからこそ怖くなって…」
翔「怖いのは…関係が変わってしまう事じゃなくて…変わらない事かもよ」
「………」
翔「俺は…変わるのが嬉しかったな。『松本潤の妻』になれる事が。『松本翔』になれるのが…。だから迷いは無かったよ。迷わずに潤の腕の中に飛び込んだ感じ」
「翔さん…」
翔「ん?」
「本当にありがとう。俺…変われるかも…変わりたい…」
翔「うん。きっとやれるよ」
翔さん…ありがとう。
俺は翔さんに抱き着きながら…心を決めたんだ。