第73章 押された背中
ー翔sideー
その事実を告げられた時、言葉が出なかった。
そしてその時分かった。
あの日に告げられたんだろうって。
返す言葉も無いまま、プロデューサーとディレクターが出て行く。
ポツンと楽屋に1人取り残された。
どうして…どうして村尾さんが…。
これからもずっとこの月曜日が続いていくと思っていたのに。
村尾さんが番組を去っていく。
報道を扱う仕事を教えてくれたのは村尾さんだった。
番組が始まる前に皆で固く誓い合った。
なかなか上手く出来ない俺を時には優しく励まし、時には叱咤してくれた人。
ドが付く程真面目で…どこか天然なとこがあって。
何度も何度も支えて助けてくれた。
俺の身体の事を相談した事だって…。
あの事を知ってるのは家族とメンバー以外では村尾さんだけが知っていた。
どうしてこんな…体のいいリストラみたいな事。
村尾さんと過ごす時間は残り数ヶ月…。
「………村尾さん…」
話したい。
頭 その瞬間、俺は直ぐに楽屋を飛び出して村尾さんの楽屋へと向かっていた。