第69章 Essential
ー和也sideー
「じゃあちょっと行って来るね」
智「おう。気を付けてな。あんまり怒るなよ」
「それは無理。まったく馬鹿なんだからあの2人」
智「でも…まぁ、良かったな」
「………うん。良かった」
智の胸に顔を埋めると智が優しく抱き締めてくれた。
「それじゃ。行って来ます」
智「行ってらっしゃい」
そのまま俺はマンションを出て車で松本家に向かった。
「もう…遅い」
痺れを切らしながらジリジリと待ってると、漸く玄関の扉が開く。
潤「………おう。悪い」
「悪いじゃないよ。全くもう!何やってんの」
潤「ごめん。ちょっと…盛り過ぎた…」
「盛り過ぎたからって一晩で奥さん潰すなんてどんな抱き方したの!馬鹿じゃないの」
文句を言いながら潤くんの横を通り抜け、靴を脱いだ。
潤「いや…一晩っていうか…さっきまで…」
「はぁ!?さっき?」
潤「電話する直前まで…」
「本当に馬鹿!何回したの!」
潤「えー…っと…」
後ろを着いて来る潤くんが指折り数える。
「考えないと分かんない訳?」
潤「………8?9回?」
「はぁ…」
溜め息を付きながら寝室をノックする。
「翔さーん。来たよ。入るね」
扉を開くと独特の匂いが鼻を付く。窓は全開になってたけど…まだ残ってるなんて…本当に9回もしたんだな。
翔「にの…ごめんね」
「いえいえ。大丈夫?」
シーツにくるまった翔さんが申し訳なさそうに俺を見つめる。
「ほら潤くん。あんたは自分で貼んなさい」
そう言って俺は湿布薬の入った袋を潤くんに渡した。