第66章 恋の行方 PART 1
「俺は…ずっとお前に申し訳ない事をしたって思ってた。だから…お前の幸せを願ってた。その為には友達として何でもしてやりたいって」
真央「うん」
「でも…もうそんな考えは捨てるよ。お前への罪悪感も…友達としての気持ちも。もう捨てる」
真央「………そう言われるんじゃないかと思ってた」
「俺の愛してる人を傷付けた。必要以上の嘘で…翔を傷付けた。俺は…一生お前を許せないと思う」
真央「………分かった」
「ごめん。もう真央の幸せを願う事は出来ない。二度と会わない。会いたくない。もう偶然に会っても声も掛けない。掛けないでくれ」
真央「………それだけの事してでも貴方の事を取り戻したかった。愛してたのよ潤くん。それだけは分かって」
「………今は分かりたくもない」
真央「そう。それじゃ…先に出るわね」
真央が立ち上がり、扉へと歩いて行く。
真央「………最後に聞かせて」
ドアノブを掴んだまま、真央が振り返る。
「何?」
真央「私が…本当に貴方の子供を妊娠してたって言ったら…櫻井さんの言う通り結婚してくれた?」
「………俺の妻は翔だけだ。もしそうだったとしても結婚は出来なかった。ごめん」
真央「そう。本当に…何処までも馬鹿ね潤くんは。あんな人の何処がいいのか趣味が悪すぎる」
「………さよなら真央」
真央「………バイバイ潤くん」
バタン、と扉が閉められ部屋が静まりかえる。
「………翔…」
ガクリと俺はそのまま床に座り込んだ。