第12章 ♣あの娘が・・・
「いやぁ〜、会いたかったよ、和子ちやん」
って、長瀬くん…?
「で、そっちの子は、初めて見る顔だけど…?」
ニコニコ愛想笑いを浮かべる和子ちゃんの隣で、憮然とした顔で座る娘に目をやる。
和子ちゃんは肘でその娘を小突くと、
「新人なんですぅ〜。ほら、早く挨拶して?」
一瞬ハッとした表情を浮かべたものの、すぐに憮然とした顔に戻り、
「さ、智子…です」
ん…?
意外と声低いけど、そんなこと気にしな〜い。
「新人…て、いつから?」
思い切って聞いてみた。
「今日からなんですぅ〜」
智子ちゃんの代わりに和子ちゃんが答える。
けど…、
俺は智子ちゃんに聞いてるんだって〜!
「へ、へ〜。そ、そうなんだ…? あ、お、俺もね、ある意味新人なんだよ。こうゆうとこ初めてだから…」
緊張を解すように優しく微笑んで見せた。