第10章 ♣️ウィンタースポーツが…
雅紀side
仲直りできないまま、俺は半ば強引に大ちゃんを連れ出した。
不貞腐れた顔はしてるけど、怒ってる訳でもなさそうで、膝の上で手をモジモシさせている
手…繋ぎたいんだろうなぁ…
いつもそうしてるから…
手を伸ばせばすぐ届くとこに行き場をなくして、途方に暮れてる手があるのに、俺はその手を取ることができない。
俺も相当な意地っ張りみたいだ…
その後もろくに会話もないまま、予約してあってロッジに到着した。
駐車場に車を停め、助手席で寝ている大ちゃんの肩を揺すった。
「ん…着いたの…?」
寝ぼけ眼でキョロキョロすると、大ちゃんがブルッと身震いした。
「これ、着ときなよ…」
後ろのシートにあったダウンを肩にかけてやると、小さく‘’うん‘’と頷いた。
俺はトランクから二人分の荷物を取りだし、それを両手に持ち、ロッジの入り口へ向かった。
真新しい雪の上を踏みしめると、ザクザクと音を立てながら足首まで飲み込んだ。