第8章 ♠ウエディングベルが・・・
だとしたら、俺に出来るのはただ一つ。
智くんを愛し続けること…
「智くん、愛してるよ?」
驚いたように見開かれる瞳が、ほんのちょっとだけ潤んでいた。
「そうだ!」
俺はあることを思い付いて、テーブルの上のミカンを一つ手に取った。
智くんに見えないよう、手元を隠してミカンの皮を剥いた。
「出来た!」
「な、なに?」
「智くん、左手出して?」
戸惑いながら差し出される、智くんの綺麗な左手。
「ちょっと不恰好だけど許して?」
俺はその薬指に、ミカンの皮で作った リングを填めた。
驚いた顔で自分の左手を見つめている。
「ほんと…、不細工…だ…」
智くんの瞳から涙が溢れた。
そして、
「ありがとう、翔くん。
俺も愛してる…」