第8章 ♠ウエディングベルが・・・
「智くん、それ何回目?」
同じ場面を何度も、巻き戻しては再生、また巻き戻しては再生を、ずっと繰り返している。
それは俺の部屋に来てからずっと続いていた。
指折り数えながら、
「もう何回観たかわかんなくなっちゃった」
と、笑ってる智くん。
「翔くんはさ、これ観て何とも思わないの?」
智くんがある場面でリモコンの一時停止を押した。
えっ、これってまさか?
俺の考えが間違ってなければだけど…
そうゆうこと?
「なんだろうね? ほんの一瞬のことなんだよ?
だけどこれ、すっごい幸せみたいじゃん?」
そう言って智くんが一人照れてる。
どうして今まで気づかなかったのか…
言われてみれば、画面に映った俺と智くんのバックには、ウェディングベルを思わせるような映像があって…
智くんの言うとおり、本当にほんの一瞬だけど、その前に立つ俺達は、まるで新郎新婦のように見えなくもない。