第25章 ♠お片づけ
お昼前に目覚めたぼくたちは、みんな二日酔いの頭を抱えながら、パーティの後片付けに明け暮れた。
リビングのあちこちに転がる空き缶は、45ℓのゴミ袋をあっと言う間に満たんにした。
「もうコタツも片付けなきゃね…」
翔くんの声に、ぼくは窓の外に目を向けた。
青空が広がっていた。
「布団、干そっか」
テーブルが大きいから、当然布団も大きくて、翔くんと2人で悪戦苦闘しながら、布団を庭の物干し竿に掛けた。
コタツのなくなったリビングは、どことなく殺風景だった。
「もう冬も終わりだね?」
縁側に腰掛け、そこから見える海を眺めた。
「春はもうすぐそこまで来てるよ」
翔くんの言葉にぼくは無言で頷いた。
ふと昨日の和の姿を思い出す。
和、目に涙いっぱい溜めてたな…
とても幸せそうに笑ってた。
ぼくたちだって同じ。
和が貰った賞なのに、まるで自分が貰ったみたいな気分になって、ホントに嬉しかった。
どんなに頑張ったって、どんなに演技が上手くたって、所詮はアイドル。
世間の人はそう言う。
でもぼくらは知ってる。
和がどれだけ努力してきたのか、間近で見てきたから。
だからこそ自分の事のように、みんな素直に受賞を喜べることが出来た。
3月4日
和が“アイドル二宮和也”ではなく、“俳優二宮和也”として認められたこの日を、ぼくたちは忘れることはないだろう。
季節は巡り、また冬がやってくる。
そしたら、またみんなでコタツに入ってさ、やがて来る暖かい春を待とう。
5人で…
おしまい