第23章 ♥声が・・・
智side
最近何かと忙しい。
忙しいことは幸せなことなんだろうけどね?
でも恋人にも会えないって、ちょっと辛い。
ストレスって溜まるんだよ、こんな俺でもね?
俺みたいに普段からボーッとしてる奴はさ、余計にボーッとしちゃう訳でさ…
そこで、思いついたストレス解消法。
スポーツで汗流す、とかカラオケで大声張り上げるとか、そんなんじゃない。
もっと気持ちいいコト。
俺はスマホにイヤホンマイクを装着し、イヤホンを耳に差し込んだ。
スマホの発信履歴から、翔くんに電話をかけた。
コール音を聞きながら、俺の胸は期待に高鳴る。
「もしもし、智くん?」
「うん、あのね…俺…」
恋人にだけ聞かせる甘えた声。
「困った子だね智くんは…」
なんて言ってるけど、翔くんも満更でもない様子で、
「準備は? ちゃんと出来てる?」
言われなくても準備万端だよ?
「うん、大丈夫。だから…」
もぉ、焦れったいなぁ…
「じゃ、始めるよ?」
相手には見えないと分かっていても、無言で頷いた。