第19章 ♣️唇が…
大野さんが家に来る、
それだけでスキップしたいぐらいの気分なんだけどさ、目的はコイツ…サトミーなんだよな。
“俺”じゃなくて、“サトミー”なんだよ。
猫に嫉妬しても仕方ないんだけどさ、正直ちょっとヤケチャウのも事実で…
「おい、ミー? お前ハラ減ってない? ミルク飲むか?」
お腹いっぱいにさせて、寝かせる作戦だ。
コイツが寝ちまえば、俺と大野さん2人きりになれる。
いい考えだ。
ところがサトミーのヤツ、
「ミーミィー」
って鳴いたっきり、近寄っても来ない。
作戦失敗か…
次の作戦考えないとな…
そうこうしてる内に、ピンポーンと来客を告げる音が鳴った。
サトミーの垂れた耳がピンと立った…と、思ったら、俺を通り越し玄関へ一目散。
先を越された…