第18章 ♥Sweet Sweet kiss♡
翔side
どれだけアルコールで消し去ろうとしても、頭の片隅に残る疑念と、ほんの少しの後悔を引き連れたまま、玄関のドアを開けた。
微かに香る甘い匂い。
リビングのドアを開けた途端、更に強さを増す甘い甘い匂い。
チョコ…?
ふとり中央に鎮座するコタツに視線をやると、テーブルに突っ伏して眠る智くんの姿。
そしてフルーツやらパンやら…可愛く盛り付けられた皿。
赤いポットには溶かしたチョコレート。
あ、今日バレンタインデーだ…
そんなことすっかり忘れてた、ってよりも気にしたこともなかった。
だから智くんは俺の帰宅時間を気にしてたんだね?
眠る智くんの頬にキスをする。
「遅くなってゴメン」
俺の手を声にゆっくり瞼を持ち上げ、まだ眠たそうな目を手で擦った。
「ん…おかえり、翔くん」
「ただいま、智くん」