第15章 ♠しあわせが・・・
翔side
隣で眠る君。
「うふふ…」
突然笑い出すから、ビックリしたよ。
きっと楽しい夢でも見てるんだろうね。
その頬に触れてみる。
急に顔をクシャってさせたかと思ったら、閉じた瞼の隙間から暖かい滴が零れた。
笑ったり泣いたり…
忙しいったらありゃしない…
零れた雫を唇で吸い取ってやる。
すると君はパッと目を開け、俺の首に腕を巻き付けてきた。
「どうした? 悲しい夢でも見た?」
俺の胸に顔を埋めたまま、何度も首を振る君。
「じゃあどうして泣いてるの?」
「俺達、ずっと一緒にいられるよね? 5人でいられるよね?」
あぁ、そういう事か…
つい先日起きた先輩グループの解散報道。
あの一件が智くんの心に、暗い影を落としているのは、薄々気付いていた。
何が正しくて、何が間違いかなんて、関係ない。
ただ誰か1人でも欠けてしまったら、それはもうグループとして成立しない。
一度はグループ離脱を考えた智くんだから、きっと俺ら以上に思い悩んだんだろうね…
俺は智くんをギュッと抱きしめ、髪を撫でた。
「一緒だよ?
俺達5人は、ずっと一緒だ」
顔を上げ、俺を見つめる君。
涙に濡れた瞳がキラキラ光ってる。
「おじいちゃんになっても?」
「うん、おじいちゃんになっても一緒にいよう」
そっと小指を差し出す君。
俺はそこに自分の小指を絡めると、小さな約束を交わした。