第14章 Dear my doctor
櫻井side
羞恥心と快感を天秤にかけ、ようやく貰えると思った刺激。
なのに…。
雅紀は服の上から触るだけ。
それはもどかしさを募らせるだけ。
「なんで…?」
なんで、服の上からなの?
そう聞きたくて…。
でも口から出たのは『なんで』の一言だけで。
A:「ん?何が?」
俺のもどかしさをと対極にあるのんびりさで答える雅紀。
その口調が…教える。
口にしないと伝わらないと。
オブラートに包むような言い方じゃダメだって。
目が優しく『素直になっちゃえ』って言ってる気がした。
自分の中でせめぎ合う羞恥と欲望。
そして勝ったのは…当然、欲望。
「雅紀…直接…触ってっ
雅紀の手で教えて…
気持ちよく…なりたいっ」
なんだか分からないけど涙も出てたと思う。
真っ赤な顔で雅紀にすがるようにお願いしてたと思う。
素直に自分の気持ちを言った先にあるもの…。
欲望に負けたのは間違いないけど…
快楽の先に何があるのか知りたくなったのかも…知れない。
ぐちゃぐちゃな自分に雅紀は最上級の笑顔を見せながら頭をポンポンってしてそのまま俺を抱き上げた。
ベッドに俺を下ろした雅紀は素早く自分のシャツを脱ぎ捨てる。
俺はベッドの上で上半身を起こしたまま雅紀を見ていた。
なに?って顔で俺を見たと思ったら次の瞬間、俺のシャツは剥ぎ取られ床に落とされた。
雅紀の手が俺の頬を包む。
至近距離で俺の顔を覗きこむ瞳にある温かい光と頬を包む綺麗な手に…ドキドキした。