第37章 アンスリウム
Sho side
振り向くと,丸く躰を縮めて
天敵に怯えるようにこちらを見ている
大きな黒猫が居た
思わず息を呑んで
言葉が出なかった
黒いふさふさの毛並みなのに
ところどころ見え隠れする肌は白くて
長い尻尾が躰の後ろから
誘惑するように俺の方へ伸びていた
潤「な…なんか言ってよ…」
何も言わずにジッと見つめていたから
居たたまれなくなったのか
真っ赤な顔を脚に埋めながら呟いた
翔「…可愛いよ…もっと見せて?」
前に出てる尻尾を手にとって
弄んでみる
潤「あっ…」
ふわふわの細長い尻尾は
当然,潤に繋がってるわけじゃないのに
手で弄ぶのを見ながら
頬を赤らめて躰を震わせるから
ホントに猫を可愛がっている気分になってくる
翔「ふふ…そんなに丸まってたら見えないよ?」
壁に背をつけて小さくなる躰を
ゆっくりと開いていく
肉球の手袋をした
いつもより大きな手をとって
足を抱えていた腕を降ろし
体育座りしている足を
ゆっくりのばして広げた
潤「は…恥ずかしい…」
肉球が顔を覆った
翔「隠さないで?可愛いよ?」
ちゅっと肉球にキスを落とすと
そろりと可愛い顔が覗いた
全体が見たくて
躰を少し離すと
また小さく丸まってしまう
潤が身じろぐたびに
尻尾が器用にくるんと動いて
俺を誘う
一挙一動に目が離せなくて
どんな仕草でも可愛くて
くらくらする……
翔「おいで?」
ラグの上に胡坐をかいて手を伸ばすと
その可愛らしい黒猫は
顔を真っ赤にして
飛び込むように
俺の腕の中へ抱きついてきた