第32章 ルビー
Kazunari side
智「俺怒ってないよ…?仕事だったんだし…」
なんて,優しい顔して笑ってる
そう…怒ってないの…
このヒト…全然怒ってない
あー…良かった…
…なんて思うわけないでしょ…?
サイドブレーキから手を離して
ハンドルに戻した
必然的に智の手が離れていく
離したのは俺だけど
包まれてた温もりがなくなって…
寂しい…
それから,殆ど会話もないまま
智の家の近くのコンビニで車を止めた
智「行く?」
和「…待ってる」
短い言葉を交わしてシートに沈んだ
智が買い物に行ってる姿を
車の中から何ともなしに眺める
…って,何コレ、俺ストーカーみたい…
自分でツッコミながら落ち込んだ
なんで…俺一人でこんな気分になってるんだろ…
だいたい…智が怒って無くても
俺…怒ってるんですけど…?
松にぃと仲良いのは知ってるけど
なにデレデレ惚気てんの?
松にぃのベッドにダイブするとか…
聞きたくないんですけど…
長瀬君の言うとおり
ホントにちゅーとかしてるんじゃないの…?
どす黒い感情が出てきて
智にぶつけそうで怖い
あてつけに潤くんとイチャイチャのアピールしたのに
怒ってるのは翔くんばっかりで
智は何にも反応しない…
…俺…バカみたいじゃん…ホントに…
また大きなため息をついて
ハンドルに突っ伏した