第31章 ユウガオ
Sho side
翔「お疲れ様でした,スミマセン…今日はお先に失礼します!…潤,行くよ?」
潤「ぁ…はい…失礼します…お疲れ様でした…」
先輩への挨拶もそこそこに
俺は潤を引っ張って楽屋を出た
雅「待って待ってっ,俺も乗るっ」
駐車場へ降りるエレベーターが来た時
雅紀が走ってきた
シンと静まるエレベーターの中
雅紀が困ったように俺と潤の顔を交互に見ていた
駐車場に着いて
俺達は俺の車に…
雅紀は自分の車に向かう
雅「お疲れ…えーっと…翔ちゃん…落ち着いて…ね?」
年末で…仕事が立て込んでるからね?と諭された
翔「…お疲れ」
それには答えず俺は車に乗り込んだ
ゴメン…雅紀…わかってるよ…
でも今はちゃんと答えてる余裕がなかった
潤「相葉さん…ごめんね…お疲れ様…」
潤が代わりに謝ると
雅紀は困った笑顔を潤に向けた
雅「あ…うん…無理しないように…お疲れ様…」
手を振って自分の車へ向かっていった
潤が助手席に乗り込んだのを見て
エンジンをかけ,性急に車を発進させた
潤「っわ…」
シートベルトに手をかけたままの潤がバランスを崩してドアに掴まった
体勢を立て直すのを横目で確認しながらも,そのまま走り出す
テレビ局の駐車場を抜けて
慣れた道を無言で走った
赤信号で車が停まると
車内は静まり返る
潤「…ごめんなさい…」
小さく小さく…潤が謝ってくる
翔「……何が?」
潤の方は見ないでとぼけたように答える
潤を傷つけたいわけじゃないけどさ…
これくらいの意地悪してもいいでしょ?
あんなの見せられて…
いくら相手がニノだって…
無かったことに出来るほど
出来た人間じゃねーよ?
車はまた重い沈黙を抱えて
そのまま走り出した