第1章 ベコニア
Jun side
嬉しさに浸っていたら
結構時間が経ってしまって
戻らなきゃ,と立ち上がりかけた時
翔「潤?そんなトコで何してんの?」
背後から聞こえた声にビクっと肩が跳ねる
潤「…っ,翔くんっ!?な,なんで?」
翔「なんでって…着替える時間なのに
戻ってこないから探しに来たんだけど」
驚かせた?ごめんな
って
やっぱり向けてくれる顔は優しくて
せっかくココで気持ちを沈めてたのに
意味ないじゃん,と
また1人でドキドキしてたら
翔「飲み物は?買ってないの?」
潤「えっ,あ…いや…えっと…」
飲み物買うなんてただの口実で
だから手に飲み物がないことの言い訳が
何も浮かばない
潤「あ,時間!着替えるんだよね?戻ろう!」
誤魔化してしまおう,と
早口でそう言った時
ガコン,と翔くんが
自販機から飲み物を取り出していて
翔「コレ,好きだろ」
差し出されたのは
俺の最近のお気に入りの炭酸飲料
潤「あ…ありがと…」
受け取るその瞬間
手が不意にぶつかってしまって
それだけなのに
顔に熱が一気にたまってくる
それに気付いた翔くんが
翔「お前具合悪いの?」
手を額に伸ばしてきて
潤「や,大丈夫だから…!」
咄嗟にその手をパシン,と振り払ってしまった