第26章 キキョウ
Jun side
熱のせいか寝苦しくて目が覚めて
潤「…翔くん…?」
瞼を開けると
さっきいたはずの翔くんがそこにいない
潤「…夢…?」
会いたい,と思っていたから
夢に出てきてくれた…?
でも1度確かに感じた温もりがないのが淋しくて
…会いたいって言ったら来てくれるかな…
連絡してみようかな,と
携帯を取りに行こうとして
何気なく額に手をやると
自分で貼った覚えのない冷えピタがあって
視線を彷徨わせた先
枕元にはスポーツドリンクが置かれている
やっぱり夢じゃなかった…?
潤「翔くん…?」
起き上がりかけてた躰を起こして
名前を呼びながら寝室を出ると
潤「なにしてるの?」
キッチンにその姿があった
集中してたのか
ビクっと肩を跳ねさせて
翔「起きた?熱は?…ってまだあっついな…」
背中に手を添えてくれて
ソファに連れていってくれる
夢だと思ったのにいてくれて
そのことが嬉しくて安心して
でも起きた時にいてくれなかったのが淋しくて
潤「一緒にいてくれるって言ったのに…」
翔くんの胸に顔を埋めながら呟くと
翔「ごめんな?ご飯作ろうかと思って…」
まさかの返答に顔をあげた
思わずキッチンに視線を遣ると
翔くんが苦笑する
翔「できたら一緒に食べよう?」
潤「ありがと…」
苦手なのに
俺のために作ってくれる
それが嬉しくて笑みが零れた