第16章 ニリンソウ
Jun side
潤「斗真っ…!やめろって!」
尚も翔くんの手を握って
楽しそうにしてる
今すぐ引き剥がしたいのに
認めちゃいけない
その気持ちが行動を留める
「俺に隠してたコト言ったら返してあげるよ?
…お前の翔くん♪」
“お前の翔くん”
その言葉に顔が真っ赤になるのが自分でもわかる
チラリと翔くんを見ると
少し困ったような顔をしながらも笑ってて
だから
潤「翔くんと…付き合ってます…
隠してて悪かったよ!もういいだろ!?
俺のなんだから触んな!」
早口で言い切ってから
握られたままの翔くんの手を引っ張って
そのままテーブルの下で
翔くんの手をぎゅっと握った
斗真を信じてないわけじゃない
でも男と…しかもメンバーと付き合ってるコトを
初めて誰かにカミングアウトして
やっぱり不安が押し寄せる
翔くんもその手を握り返してくれた
でも…やっぱり俺の親友はできたヤツで
「おめでとう」
その言葉に俯き加減だった顔をあげると
ふわっと優しく笑ってくれた
そして俺の不安が伝わってるかのように
「別にいいじゃん,男でもメンバーでも」
そもそも俺,潤が男に片想いしてたの知ってたし?
何もおかしいコトじゃないよ,と言ってくれるから
翔くんの手を握りしめてた力が抜けていく
潤「…ありがと」
呟くようなお礼をちゃんと聞き取ってくれて
「翔くん,潤を幸せにしてやってね」
俺の大事な親友だからさ,と
翔くんの目を見て言ってる斗真を見て
涙が溢れそうになった