第11章 デイジー
Jun side
ソファに凭れたまま気付いたら意識がなくて
マネージャーからの電話で目が覚めた
テーブルの上のビールの空き缶の数に
少し自分でもびっくりしながら
通話口の向こうで
小言を言ってるマネージャーの声を聞いていた
とりあえずシャワーだけ浴びて
急いで迎えの車に乗り込んだものの
完璧な二日酔いで躰は怠いし頭は痛いし
正直体調は最悪で
それでも元を辿れば
負けず嫌いで素直になれない
俺の性格が原因で始まったモノで
絶対バレないようにしよう,と決めて
始まった収録
時折翔くんがこっちを見ているのには
気付いていたけど
もうここまできたら
どこから謝ればいいのかもわからない
しかも二日酔いの頭は使い物にならなくて
声をかけるタイミングも見つけられないまま
ひたすら頭痛に耐えて過ごした
翔「潤…今日これで上がりなら,この後付き合って」
収録終わり着替えていると
翔くんが普通の声で話しかけてきて
思わず振り返って周りを見ても
誰も気にした様子はなくて
送っていく,という翔くんに返事をして
その後お互い無言のまま車に乗り込んだ
翔「具合悪いんだろ?寝てていいよ?」
多分道的に翔くん家に向かいながら
そう言われて
潤「元気だよ,大丈夫」
バレてんじゃん…とか思いながら
平然を装うけど
翔「バレバレ。…熱は?」
翔くんの手が額に伸びてきて
その手の温かさに頭痛が少し和らいだ気がした
潤「ないと思う。…二日酔いだから」
そう言えば
翔「寝てろ」
とだけ言われて運転に集中する翔くんが視界に写った