第1章 ベコニア
Jun side
迎えに来てくれたマネージャーの車の中で
二日酔いはすぐにバレて
次の日の仕事を考えて,とか
体調管理がどうの,とか
小言を言われながら
二日酔いのせいで
気持ち悪くなりそうな車の揺れに耐えていると
[どういたしまして
仕事,頑張って]
翔くんから返事が来て
それだけで嬉しくなる
「彼女?バレないでよ?」
マネージャーの言葉に画面から顔をあげると
「顔,緩んでる」
と指摘されて
潤「ちがっ…彼女とかそんなんじゃ…」
慌ててした否定は
逆に疑惑を深める気がして口を噤んだ
あの日以来初めてメンバーが集まる仕事の日
楽屋に入るといつも通り翔くんだけがいて
翔「おはよう」
いつも通り笑ってくれるけど
潤「おはよ…」
何かがいつもと違う気がして
潤「この間はごめんなさい
…翔くん,なんかあった?」
向かいの椅子に腰掛けて
違和感の原因を聞いてみると
翔「や,なんもないよ?」
一瞬視線が絡んで
その瞳にドキン,とする前に
翔くんが息を飲んで視線をそらした
え,なんで…?
俺なんかしたかな…