第58章 ストック
Sho side
潤「あ…桜の木…これ写真にあったよね…」
潤が公園の奥に佇む桜の木を見上げる
もう花は咲いてないけど
青々と茂った葉っぱが
また別の表情を見せていた
潤「…斗真と健くん…と来たよね?」
それは写真にも写ってたから記憶が戻ったわけじゃない
潤「あ…そっか…あそこ付き合ってるんだっけ…」
翔「え…」
潤「え…違った…??あれ?勘違い??」
斗真は健くんの事は言ってないはずだし…
あの写真も特にそういう際どい写真は無かったはず…
翔「そう…だけど…」
潤「最初はびっくりしたけど…今はお似合いの2人だよね?」
なんでもないことのように笑ってる
もう…怖い…とかないのかな…
潤の言動にドキドキしてる自分が居る
また,恋し直してるみたいに
片思いの時みたいに…
潤の言動に一喜一憂する
でも…若い時みたいに勢いで…というわけにはいかない…
恐怖心も残ってるから
絶対…焦っちゃダメなんだ…
潤「翔くん…?」
気付いたら,潤の顔が思ってたより近くにあって,思わず飛びのいた
翔「わ…え…あ…うん…ぐるっと回ってみる…?」
動揺を誤魔化すように
俺は歩き出した
潤「ここさ,たしか夜景も綺麗だよね?」
翔「うん…初めてのデートで来たよ…」
潤「うん…帰りたくないな…って思ってたの…覚えてる…」
その言葉に思わず振り向くと
へへっと天使の笑顔を俺に向けた
潤「すごくない?かなり思い出して来たっ」
嬉しそうに笑って…はしゃいで…
子供みたいに歩いていく…
なんか…息できねー…
ドキドキしすぎて…苦しい…
複雑な気持ちを抱えたまま
潤の後を追うと
潤があの教会の前で佇んでいた
翔「……潤…?」
潤「あっ…えっと…中入れるかな??」
誤魔化しながら笑った瞳には
少し涙が浮かんでるようにも見えた