第58章 ストック
Sho side
震える声で一生懸命俺に伝えてくれる
きっと…俺と向き合ってることだって怖いはずで…
潤が頑張ってるんだから
俺が負けたらダメなんだ
そう言い聞かせて
なるべく落ち着いたトーンで返事をした
翔「正直ね…今朝まではわからなかった…原因も理由も…だから,どうすればいいのか迷ってたんだ…」
潤「…今日…わかったの…?」
一瞬顔を上げた潤と視線が絡んで
すぐに離れたけど
昨日みたいな苦しさはなかった
翔「わかったけど…このことは…メンバーのみんなも知らないことだし…潤にとっても思い出したくない…辛い事だと思う…」
俺の言葉に
部屋の空気が緊張したのがわかった
雅「あ…俺達…あっちの部屋行ってるよ?二人だけで話しなよ?」
雅紀が気を使って立ち上がった
和「うん…その方がいいかも…翔くんの部屋入っていい?」
ニノも智くんの腕を引っ張って
立ち上がった
潤が不安そうに3人を見ると
智「何かあったら呼んで?」
ふわっと俺達に笑いかけてその場を離れて行った
翔「…ごめん…」
思わず立ち上がって皆の後を追いかけると
和「気にしなくていいから…後で聞けることは聞くし…」
雅「ほら,松潤待ってるよっ」
智「いつでも呼んで…」
俺を押し返すように
部屋の扉が閉まった
振り返ると潤が俺を見ていて
今までで一番長く視線が絡んだ
そのまま潤と一定の距離をとって
でも離れ過ぎない場所に座り直して
ひとつ,深く深呼吸をした
大丈夫…落ち着け…
自分に言い聞かせてから潤に向き直った
翔「潤を車でひいた奴はね…10年くらい前…俺がZEROのキャスターを始めた頃のディレクターだった人なんだ…」
潤「…ZEROの…?」
翔「そう…潤は当時…俺を使って脅されて……そいつにセクハラを受けてた…」
潤「……っ…え…」
俺は一度も潤から目を離さずに話をした
一瞬驚いた潤が
顔を歪めて自分の髪を握る
翔「ごめん…俺の立場を守るために…潤は我慢してくれてたんだ…」
潤「っ…なんで…そいつが…」
苦しみながらもその先を促すから
俺も先を急いだ
翔「今回の事故は偶然じゃない…確実に…潤を狙ってたんだ…」
でも…
その急いだのがいけなかったのか…
俺の言葉を聞いた潤が
そのまま蹲って
大きな音を立ててソファの下に崩れ落ちた