第57章 カルセドニー
Kazunari side
智が帰ってくる音が聞こえたけど
どうしても玄関に出迎えることはできなかった
和「おかえり」
なんとか絞り出した言葉も
上ずって…
どうしよう…
ばっかりが頭の中を巡った
智「それ…どうしたの?」
そう言われると…
もうどうしようもない…
やっぱ無理だ…
耐えられない…
その場から逃げるように
勢いよく立ち上がると
ぐっと引っ張られて
智の腕の中に納まった
智「びっくりしただけ…もっと見せて…?」
抱きしめられながら言われて
俺はその場に立ち尽くすしかなかった
ジッと…智が俺を見つめる
…やばいやばい…
どうしよう…
頭の中がフル回転する
もう受け狙いに切り替えるしかない…
和「ふふ…撮影を頑張ったお祝いに…社長の願い…天使がなんでも叶えてあげる♡」
智の腕の中で
究極のジャニーズスマイルで
笑って杖でトンと胸を叩いてみると
智「………ぅわ………」
それまで俺を緩く抱きしめていた智が
急に手を放して足元に蹲った
和「…え…さと??」
びっくりして覗き込むと
今度はいきなりガバッと顔を上げた
智「…それ…反則だ…」
和「え?…え?」
気付いたら,目の前には天井が見えていた
俺の躰はラグの上に押し倒されていて
智が上から覆いかぶさって
俺の上に影を落とした