第57章 カルセドニー
Kazunari side
翔「はい,これ…貸してあげる♪」
和「はい?」
翔くんに渡された袋の中には
真っ白な衣装が入っていた
翔「これ着てお出迎えしたら,智くん…燃えちゃうだろうね♪」
和「…そう…かな…」
…これを…着るの…?
俺が?
そりゃ確かに…物足りないって言ったけどさ…
これ着て…何か変わるかな…?
ひかれて終わりじゃない…?
翔「びっくりはするだろうけどね,最終的には病みつきになる…あと,癒される…んじゃない?たぶん……潤はそう言ってる…」
翔くんの言葉はまるで棒読みで,作り笑顔…
絶対そんなこと思ってないだろ!!って思う…のに…
もしもこれを着たら…
智がどんな反応を示すのか…
ちょっと見てみたい気もした
こーゆーの…したことないから…
翔「なんならあげるよ?」
和「…潤くんの物,勝手にもらえないよ…借りるけど…」
翔くんはちっ…と残念そうに舌打ちした
…何があったんだろう…
智は春クールのドラマ出演で
ずっと忙しい日々が続いていた
しかも智の役はうぶな社長だったからか
家に帰ってきてもなんだか淡白で
せっかくのお祝いだから
“何か面白い事ないかな…?”
そんな相談をしたら…
翔くんはこれを持ってきてくれた
家に帰ってお祝いの準備をして…
まだ帰ってくるまでに時間があるから…と
ためしにソレに袖を通してみた
スゴイ…なにこれ…たしかに面白い…けど
羽…輪っか…杖まであるよ…?
まさに天使……俺…ヤバイやつ…?
でも…似合ってる…気がする…
鏡の前でくるくる回ってみると
天使の羽がふわふわと俺の背中で羽ばたいていた