第54章 ラケナリア
Jun side
早く帰ってくるって言ったくせに
[うまそう!帰ったら少し一緒に飲もう]
そうやってメールしてきたくせに
翔くんは全然帰ってこなくて
潤「山田となにしてんだろ…」
ひとりごとが増えていく
台本にも集中できないまま
気づいたらソファの上でうとうとしていた
翔「じゅーん…潤…寝るならベッドで寝なきゃ…」
躰を軽く揺すられて
聞こえてきた待ち望んだ声に瞼を開けると
翔くんが俺を覗き込んでいた
寝ぼけたままその顔に手を伸ばして
ぐっと引き寄せて
翔「んっ…ん…んん…」
唇を重ねると翔くんから小さな声が漏れる
潤「はぁっ……遅いよ…」
唇を離して見つめると
翔「ごめんな…」
翔くんの腕が背中に回って
ぎゅっと抱き締められた
うたた寝する前に感じてた不安が
その温かさに少し癒されていく
でもすぅっと息を吸い込むと
微かに香る翔くんのじゃない香り…
山田の…なのかな…
無言で翔くんのシャツのボタンを外すと
翔「ちょっ…潤?どうした?」
翔くんが焦るような声をあげる
それを無視して肌蹴られた翔くんの素肌に顔を埋めると
今度は翔くんのにおいがして嬉しかった
潤「写メ見てくれた?おいしくできたよ…飲もう?」
寝てたからか…
まだちょっとぼーっとする頭のまま
翔くんのにおいを感じながら
胸の中から翔くんを見上げた