第1章 ベコニア
Sho side
「そーいえば,さっきボーっとしてたな,珍しく」
翔「え?…そうでした?」
「あんな無防備な櫻井翔なかなか見れないぞ?」
岡田くんは笑って
「なんかあった?」と聞いてくる
普段のちょっと天然な感じからは
想像つかないくらい鋭い時がたまにある…
というか,V6の兄さんたちは
俺らの事を気にかけてくれてるからか
すごく良く見てくれている気がする
翔「あー…いや…」
言葉を濁しつつ潤の顔が頭をよぎる
撮影で抱きついた俺に
びっくりして赤くなる潤
「照れちゃった…」
そう呟いて逸らした横顔は
めちゃくちゃ可愛くて
思わず抱きしめてた腕に力が入った
その顔が頭から離れなくて
ボーっとして歩いてたんだ…
「…櫻井…好きな人でもできた?恋人?」
ジッと俺を見てた岡田くんが
顔を覗き込んで言ってきた
翔「…はい?」
思わず素っ頓狂な声が出た
なぜいきなりそんなことを言われるのか…
「愛おしいモノを思い出すような顔?してたよ」
…この人はなぜ恥ずかしげもなく
そんなことを言えるのか…
キザなセリフも真面目に言うから普通に聞いてしまう
翔「何言ってるんですか…」
笑いながら否定したけど
それからというもの
今度は,照れた潤の顔と
キザなそのセリフが同時に
脳内を占めることになった
…愛おしいモノ…?