第52章 フェイ・エリーダニー
Masahiro side
宮城に行く直前
不安そうにしていた雅紀
「大丈夫だよ」なんて言葉しか
かけてやれなくて
ずっと気がかりだった
俺なりに事務所の人間に話を聞いたりして手に入る情報はかき集めたけど
コンサートは本人達のモノ…
初日の夜に
〔大成功!心配かけてごめんね〕
と短いメールが届いて初めて
少しだけ肩の力が抜けた
雅紀が頑張ってる…
弟みたいに可愛がってるやつらが
必死にやってる
それは素直に嬉しかった
「ただいま!!」
勢いよく玄関が開いて
飛び込むように雅紀が帰ってきた
キッチンから出ると
もうすでにドタバタと上がりこんだ雅紀が
文字通り
俺に飛び込んできた
「ぅぉ…おま…勢いつけ過ぎ…」
「ごめんっ…」
謝りながらも俺を掴んで離さない
心細かったのか…
会いたいと思ってくれていたのか…
どちらにしても
この愛しい温もりが腕の中にあって
嬉しかった
「…おかえり…お疲れ…」
抱きしめて髪を撫でると
瞳を潤ませながら俺を見上げる
目がなくなるくらい細めて
綺麗な笑顔を見せた
撫でた手で頭を抱え上げて唇を塞ぐ
「んんっ…ん…ぁ…ふ,んんっ…」
深く重ねて舌を絡めて
数日ぶりの雅紀を堪能した
「はぁっ…昌宏さん…会いたかった…」
そう呟く雅紀の顔は蕩けたみたいに可愛いくて…
細い体を抱えてソファーに座らせた
顔にかかる髪を手で書き上げて
もう一度その顔を覗く
「俺も会いたかった…おかえり…」
もう一度唇をそっと重ねた
「ただいま…」
そのまましばらくお互いの温もりを確かめ合うように抱き合って過ごした