第51章 カーフ
Masaki side
雅「んっ…んん…っ」
一緒に冷蔵庫を見ようとしたら
振り向いた松にいの顔が目の前に来て…
体勢が不安定だった躰が
松にいの腕に支えられた
でも今度は苦しくなる前に唇を離してくれて
昌「ほら…ビール以外ならこれしかないけど」
冷蔵庫から取り出した
レモン酎ハイの缶を手渡された
雅「ありがとっ…」
冷たい缶を不意打ちのキスで
熱くなった顔に当てると気持ちよかった
「「かんぱいっ」」
リビングのソファに並んで座って
冷えたお酒を数口流し込む
お酒を飲んでる自分が
なんだか大人になれたみたいで頬が緩む
雅「ね…それおいしい?」
松にいの持ってる季節限定のビールを指さすと
昌「うまいよ?」
そう言うから
苦くてあんまり好きじゃないけど飲みたくなって
雅「一口ちょーだいっ♪」
テーブルの上の缶を勝手に手に取った
普通のはおいしくないけど
“春限定”の味が気になって…
昌「でもお前ビール嫌いだろ」
そういう松にいの言葉を気にせずに缶に口付けた
でも
雅「うぇっ…にが…」
少し口に含んだだけなのに
口の中には独特の苦さが広がった
昌「だから言っただろ」
苦笑する松にいに
雅「限定だから飲みたかったんだもんー…」
そう言いながら
口直しに自分の酎ハイを一気に飲み込んだ