第51章 カーフ
Masaki side
昌「…悪かったよ…」
どうしたらいいかわかんなくて…
何も言えなくて…
でも…このまま…
何もわからないまま帰りたくもなくて…
何か答えを求めて…
ずっと黙って
松にいからの言葉を待っていた俺の耳に届いたその言葉…
…どういう意味…?
なんで謝るの?
なんで申し訳なさそうに俺を見るの?
謝るならなんでキスなんてしたの?
雅「…な…んで…?」
呟いた声は震えて視界が涙で歪んだ
昌「突然あんなことしてごめんな…」
でも松にいからはまた謝罪の声が届いて…
余計に涙が目尻に溜まるのがわかる
それをゴシゴシと服の袖で拭った
雅「なんで……謝るの…?」
自分の中にどんどん出てくる一つを口にすると
止まらなくなって
雅「女の子の話するなって…どういう意味…?
なんで…謝るならキスしたの…?
俺が…っ」
そこまで言って慌てて口を噤んだ
“俺が松にいを好きだから?”
それは…聞けない…
昌「俺が…?何?」
でも
途中でやめたからか
続きを促されて…
今度は俺から視線をそらした
雅「…なんでもない…から…俺の質問に答えてよ…」
聞きたいのに
聞くのもちょっと怖くて
膝の上でぎゅっと手を握りしめた