第49章 カカオフィズ
Ken side
斗真の寝室は
リビングよりもっと斗真の匂いがした
だから安心はするけど…
健「…あのさ…斗真って…」
俺のこと抱きたい?
俺に抱かれたい?
そう聞こうとしたけど躊躇した
斗真が好きだったのは
坂本くん
俺とは真逆のタイプ…
坂本くんを抱きたいなんて
思うわけないから…
斗「どうしました?」
心配そうに俺を覗き込んでくる
その顔をじっと見つめた
健「斗真は俺でいいの?」
斗「え…?」
健「だって…俺…坂本くんと全然違うし…」
今更不安になってきた
もし…躰を重ねて
やっぱり違うって思われたら?
俺は…斗真に抱かれたいけど
斗真は?
斗「健くん…俺,坂本くんと似てるところを探して…健くんを好きになったわけじゃないですよ?」
言いながら躰に手が伸びてきて
ベッドの上に座らされた
斗「いま,目の前に居る健くんが好きなんです…だから…」
ゆっくりと肩が押されて
ベッドに沈められた
斗「俺は…健くんを抱きたいんですけど…いいですか?」
真上から見つめられて
心臓がドクンと跳ねた
斗「健くんは……似てるから…なんですか?」
斗真が悲しそうな顔になる
あ…俺…超無神経なこと言ったんだった…
健「違うっ…あれは坂本くんの変わりとかじゃなくて…あの時は…坂本くんのコト好きだと思ってたから…褒めるつもりで…」
なんで俺…こんな必死に弁解してるんだろ…
こんなに必死になったの
いつぶりだろう…
健「坂本くんは関係ない……俺が好きなのは…ずっと傍で見てきた斗真だよ…」
嫌われたくない…
斗真の傍に…これからもずっと居たい…
健「斗真…俺を抱いて…?」
男に抱かれたことなんてないけど
でも…斗真なら怖くない
全部預けてもいい…
さらけ出してもいい
だから…お願い…
俺を見下ろす斗真の首に
するんと手を回して
頭を引き寄せた
健「俺の傍に居て…」
斗真にしがみ付くように
抱きしめると
無意識に言葉が口をついて出た