第49章 カカオフィズ
Ken side
コンサート中…関係者席に手を振ると
皆が一際大きく答えてくれる
その中には斗真も居て
俺を見てくれてるのが嬉しかった
やっぱりその後の打ち上げにも来てくれて
だからしっかり斗真の横をキープした
健「斗真,お疲れー,今日はありがとね」
グラスを差し出すと
照れたように笑って乾杯した
斗「健くんかっこよかったですよ,やっぱりステージの上だと別人みたいですね」
健「なんだそれ,俺はステージの下でもカッコイイの」
言いのけると,ふふっと笑って
斗「先輩はカッコイイというより,可愛いですよ」
なんて言って…
その後,一人で盛大に照れていた
健「それは知ってるっ…てかなんでお前が照れてるんだよっ」
斗「いや,べ…つに…照れてませんよ」
そんな風に俺に笑いかけてくれる斗真の方が可愛い
斗真が好きなのは坂本くんかもしれないけど
それでも俺の隣に居てくれることが嬉しい…
健「斗真って…坂本くんに似てるよね」
優しくて,面倒見がよくて
俺たちの憧れの坂本くんにそっくり…
誉めたつもりだったのに
斗真はそのまま何も言わなくなった
しばらく他のメンバーと
当たり障りのない会話をして
周りがトイレに立ったりして
空いた隙を狙って斗真に耳を寄せた
健「…なぁ…今日も送ってってくれる?」
肩に頭をもたれさせると
身を固めて俺を一瞥した
なに…?
しばらく沈黙が流れて
騒がしい皆を遠目に見ながら
2人だけ取り残されたみたいになった
斗「…俺は…坂本くんじゃないですよ…」
ようやく口を開いた斗真はそんなことを言う
健「は?」
わかってるよ…そんなこと…
別に斗真を変わりにしたつもりなんてない
でもそんな風に思われてたと思うと…
無性に寂しくて
健「…じゃぁいいよ…」
思わず席を立ってしまった